平和と教育を考えるツアー連絡会  
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平和の旅レポート
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台湾歴史と文化の旅 に参加して2  2016年12月7日〜11日

 

 台湾台北の旅1 「台湾総統府」にて

 「台湾歴史と文化の旅」の宣伝に惹かれて、台北四泊五日のツアーに参加した。中三日の見学だったが、興味深い内容が詰まっていた。その中の一つ「台湾総統府」は日本統治時代に「総督府」として建てられた、ルネサンス様式の赤れんが建築で今も政治の中枢として活躍している。
 最近アメリカ次期大統領のトランプ氏と電話会談した蔡英文総統がここの主人になってから、中の展示がずいぶん変わったと、ツアーガイドの陳さんは感慨深げだった。
 バッグの中身も点検する厳重な検査ながら、日本の高校修学旅行生や他国の観光客も多く、厳粛な中に開かれた雰囲気が漂っていた。ガイド嬢は日本に留学していたという明るい方だった。

 台湾台北の旅2 「二・二八和平記念館」

 五十年にもわたる日本統治時代を経て、日本敗戦から祖国に復帰し、意気込んでいた人々はしかし、蒋介石率いる国民党政府に落胆した。行政の主要なポストはほとんど外省人(中国本土から来た人)をあて、本省人(台湾出身者)を用いない。今まで、日本語を強要されて地元の言葉(台湾語)を話せなかった人々は、今度は中国語(北京語)を強要され、一時言葉を失っていた。
 経済も極端なインフレで、人々の不満と怒りが高まり、ついに起きたのが、一九四七年の二・二八事件という政府と民衆との衝突だった。 
 その後国民党は台湾人を弾圧し、三八年間も戒厳令下に置いた。その記念館で、当時を知る老人ボランティアの話を聞きながら、胸が痛んだ。

 台湾台北の旅3 「台湾原住民博物館」

 台湾には多くの原住民が住んでいた。その歴史を留める博物館前の公園には、アミ族、タロコ族など十三部族の特徴を捕らえた石像が並んでいて圧巻だった。
 博物館内も、衣服や装飾、生活用具等豊富な展示内容で、やはり日本に留学していたというガイド嬢が丁寧に説明してくれた。
 アイヌに似た歴史と文化を持つが、過去四百年間清朝や日本統治時代など歴代の政権によって、あらゆる権利迫害にあってきた。一九三〇年にはタイヤル族による「霧社事件」という抗日事件も起きた。
 昨年八月、蔡英文総統は「原住民族の歴史と正義を追求する」と宣言した。「後から来た人々が最初にいたグループの人からすべてを奪った」と、総統として初めて公式に謝罪し、「原住民族歴史の正義と、移行期の正義委員会」の設置を明らかにしたという。


  

「中央区民報」より転載  木村玲子